私たちの身近なところにある「ささえあい」の取り組み
そして、日々変わる福祉の制度や事業
「ふくしながの」は、そんな「身近な福祉情報」をお届けします。
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「地域のつながり」
そこには「支えている人」の存在がある。
第83号 -CONTENTS-
特集 -地域のささえあい活動で活躍する現役世代- ページ2、ページ3
長野市社会福祉協議会と各地区住民自治協議会では、協働により掃除・買い物・草取りなどの生活上の支援を行う「家事援助」と、医療機関への送迎を行う「福祉移送」を身近な地域の住民の皆さんが行う「地域たすけあい事業」として実施しています。
今号では、30 代~ 50 代のいわゆる「現役世代」の皆さんがこの事業で活躍している姿を紹介します。
地域たすけあい事業協力会員募集、社協の相談窓口、ご寄付について、クイズ ページ4
「ふくしながの」は共同募金の配分金で発行されています。
Episode1福原さん

福原 卓(ふくはら たかし)さん
古牧地区(福祉移送協力会員)。
昭和58年生まれの41歳。
新潟県津南町出身。
就職を機に長野市へ。
平成27年7月から福祉移送サービスの協力会員として活動。
趣味は、打楽器演奏で、現在住んでいる地区のサークル活動でドラムを担当している。
奥様と小学生のお子様の3人暮らし。
◇活動のきっかけは、「酔った勢いで」登録宣言!?
福原さんは、地域たすけあい事業に参加するようになった平成27年、会社の社宅に住んでいました。
当時、同社卓は古牧地区の行政連絡区の一つ(JR宿舎区)であり、同区長に4月から就任していました。
就任後間もなく開かれた区長会で、「地域たすけあい事業」の説明があり、そこで初めてこの事業の事を知ったそうです。
説明では、古牧地区13区(※当時)毎の利用会員・協力会員数の現況が示され、JR宿舎区は協力会員が0名でした。
これを見た福原さんは「何とかしなきゃな」と思ったそうで、その後行われた懇親会の席でお酒の勢いもあったのか「自分が協力します!」と宣言した(してしまった)とのことです。
◇先輩の協力会員の姿を見て学ぶ
福原さんは、元来、運転が好きとのことで、21歳で第二種大型自動車運転免許を取得していたことから、協力会員としてすぐに活動を開始しました。
活動を始めた当初は、先輩会員に同行し、リフト装置の使い方や声掛けの仕方といった実際の活動や活動する上での大切な心構えを学んだそうです。
現在では、概ね月1~2日の活動に参加してくださっていますが、福祉移送サービスの活動日は月曜日から金曜日の平日であり、勤務日と重なっていることから、活動日には有給休暇等を取得しているとのことです。
◇「健康であれば誰でもできる」そんな支え合いの活動だと思います
福原さんに貴重な有給休暇を取得して活動することに負担感はないかお聞きすると、「土日にはきちんと家族との時間を持てていますし、趣味の時間も取れています。元々、年配の方と話すことが好きでしたので、車内での会話がとても楽しいです。利用会員からお礼を言われたり、『また頼むね!』と言われたりしたときには、『他人の役に立てている』といった充実感を覚えます。
協力会員研修も年4回あり、その際には懇親会で先輩方とお酒を飲みながら話をしますが、皆さんの地域に対する想いをひしひしと感じ、『自分も頑張ろう』とその度に思います。
驚いたのが、福祉移送の利用会員で90歳のおばあちゃんがいるのですが、家事援助の協力会員にもなっています。
移送では支援が必要ですが、自身ができることで支援の側に回っている姿を見て、『凄いな・・・』と単純に思います。
この活動は特殊な能力は必要なく『健康でさえあれば』誰でもできます。
月1日からでも大丈夫なので、働きながらでも地域貢献となる活動だと感じています」と想いを語ってくれました。
Episode2米田さん

米田 真弓(まいた まゆみ)さん
安茂里地区(家事援助・福祉移送協力会員)。
昭和51年生まれの48歳。
安茂里地区で生まれ育つ。
両親が家事援助と福祉移送の協力会員であったことから、平成26年3月から家事援助サービスの協力会員として活動を開始。
趣味は旅行。
これまでに国内外問わず、時間を見つけて家族で旅行に出かけているとのこと。
中学生と小学生の子どもを育てる2児の母。
◇活動のきっかけは、母からの誘い
米田さんがこの事業の協力会員となったのは、他でもない「母から誘われた」ことがきっかけとのこと。
2番目のお子さんが未満児であった平成26年当時、家事援助・福祉移送の協力会員として活動していた母から「私はもう(協力会員を)辞めるから、暇しているならボランティアやってみたら」と誘われたそうです。
「子育て中で決して暇ではなかったけれど、子どもを母に預けてボランティアするのも息抜きになるかなぁ」と思い、家事援助の協力会員としてかつどうを開始。
令和3年には福祉移送の特定講習を受講し、福祉移送の協力会員としても活動しています。
米田さんは、2人の子どもが物心つく前に活動を始めたこともあり、夏休み等の長期休みの際も「ボランティアに行ってくるね」の一言で子どもたちにも母の活動が日常のものとなっているとのことで、11年間活動してきた中で「辞めようと思ったことは一度もない」そうです。
◇ヘルパーとは違う「地域住民」としての関わり
米田さんは、ヘルパー2級(※現在の介護職初任者研修に該当)の資格を取得していますが、家事援助の協力会員として活動する中で両者の大きな違いを感じているとのこと。
それは、「仕事としているのではない同じ地域に住んでいる住民だからこそできる関わり」ができる点とのこと。
例えば、「掃除」の支援で利用会員宅に伺ったとき、掃除自体は20~30分で終わりますが、その後に利用会員から「お茶どうぞ」と誘われることも多く、その際には遠慮なくお茶を飲みながら世間話をしたり、「もらった野菜があって、食べきれないから持ってって」とおすそ分けをいただくこともあるそうです。
最近の支援では、以前に買い物支援で野菜の苗を購入した利用会員宅に調理支援で入った際、庭に植えてあった苗から育った野菜が収穫時期を迎えていたことから、それは一緒に収穫し、調理したこともあるとのことで、「仕事」ではなく「地域のささえあい」という関係性だからこそできることだと改めて実感したそうです。
◇「じいちゃん」や「ばあちゃん」家に行くような感覚です(笑)
安茂里地区で生まれ育った米田さんは、利用会員の中には小さなころから知っている方も多いそうで、家事援助の協力会員としての活動は「じいちゃんやばあちゃん家に遊びに行くような感覚」とのこと。
家事援助の協力会員として活動を始めた当初は月2~3回(時間)ほどの活動だったそうですが、3年前からは福祉移送の協力会員としての活動も始め、現在は、家事援助・福祉移送それぞれ月に30回(時間)程の支援を行っています。
中には福祉移送の利用会員であった方が、支援を通じて米田さんとの関係性が構築されたことで、「知らない人に家に来てもらうのは抵抗があったけれど、米田さんにならお願いしたい」と、家事援助の利用を始めた方もいらっしゃるそうです。
父親の坂田重喜さん(73歳)も同じ安茂里地区で家事・福祉移送の協力会員として現在も活動しており、親子2代に渡っての協力会員となっています。
米田さんは、「母からの何気ない一言からこの活動へ参加しましたけれど、今となっては誘ってくれた母に感謝しています。
仕事ではないので稼ぎにはなりませんが、それ以上に活動の充実感を感じています。
同じ安茂里地区では上の子が通っている中学校の同級生のお母さんも家事援助の協力会員として活動してくれていますし、同年代の方で少しでも興味のある方がいらっしゃればぜひ参加してもらいたいです」と語ってくれました。

家事援助協力会員として活動する米田さん。買い物代行をして利用者宅に届けています。

福祉移送の協力会員でもある米田さん。福祉自動車で利用会員を病院まで送迎しています。
Episode3水野さん

水野 雅夫(みずの まさお)さん
大豆島地区(家事援助・福祉移送協力会員)
昭和50年生まれの49歳。
大豆島地区で育つ。
長野市消防局の消防士として勤務する傍ら、令和4年8月から福祉移送サービスの協力会員として活動を開始。
趣味は釣りやキャンプといったアウトドア。
県外に住むお子さんを含め、家族でキャンプに出かけることもあるとのこと。

倉島今朝継( くらしま けさつぐ) さん
大豆島地区(福祉移送協力会員)
高校時代より長野市ボランティアセンターへ出入りし、ボランティア活動に積極的に関わっていたことがきっかけで、大豆島地区で事業を開始した当初から現在に至るまで協力会員として活動。
現在は勤務の都合で活動は休止しています。
◇活動のきっかけは、協力会員募集の地区回覧を見て
水野さんがこの活動に参加するきっかけは、大豆島地区住民自治協議会が住民の皆さんに配布した協力会員募集のチラシを見たこと。
そこには「協力会員不足しています。助けてください!」といった内容のことが書かれており、それを見た水野さんは「休みにブラブラしているぐらいなら…」との思いから、活動に参加するようになったそうです。
実は水野さんの父親も、大豆島地区がこの事業による福祉移送を始めた頃に協力会員として活動に参加していたこともあり、水野さんもこの事業のことは活動に参加する以前より知っていたという背景もあり、「何か役に立てるのでは」と思ったそうです。
> 水野さんが活動している大豆島地区では、同じ長野市消防局に勤めている倉島今朝継さん(59歳)も、この事業を取り組み始めた頃から現在に至るまで活動に参加しています。
水野さんは活動に参加するまで、先輩である倉島さんがこの活動に参加していることは知らなかったとのことで、同じ活動に消防局の先輩がいることに心強さを覚えたそうです。
◇同じ地域の方から多くのことを学ぶことができる
水野さんは、福祉移送と家事援助の両方の活動に協力会員として参加しています。
勤務はシフト制ですので、公休日を利用して概ね月に2~3日の活動に参加しています。
大豆島地区では、年に複数回の協力会員研修会を行っていますが、勤務の都合上、多くは参加できていないため、他の協力会員と交流する機会は、日々の活動の中で得ているとのこと。
水野さんは家事援助の協力会員として草取り支援を行っており、この際には他の協力会員と複数で行っています。
活動中は、樹木や草花等の植物の生態に詳しい他の協力会員の方から知識を得たり、その他の日常生活上の様々な知識を人生経験豊富な協力会員から得ることも多いとのことです。
◇協力会員の活動を通じて感じる「地域の良さ」
この活動に参加するようになって感じることが「地域の人との会話が楽しい」ということだそうです。
利用会員の方との車内での会話においても、大豆島で生まれ育った水野さんは、地域の今昔に関する世間話で盛り上がることも多く、「地域のつながり」を感じるときもあるとのことです。
この活動に参加して率直に感じていることを水野さんに伺うと、「空いている時間で、かつ自分のできる範囲で参加できる活動。利用会員との会話も楽しめ、感謝されることも多いので、目に見える形で地域貢献ができていると実感できます。まだまだ困っている人は地域に数多くいるので、多くの皆さんに力を貸してもらえたら…」と話してくれました。

水野さんが活動している福祉移送では、大豆島地区住民自治協議会が所有する車椅子のまま乗車できるリフト車両を使用して高齢者や障害をお持ちの方の病院の送迎の支援を行っています。
ー力をお貸しくださいー
地域たすけあい事業協力会員募集
p>現役世代の皆さんお待ちしております!!
地域たすけあい事業は、毎日の暮らしの中で「ちょっと困ったな」と思ったときに、身近な地域の中で支える「お互いさま」の想いを形にした活動です。
「想い」があれば、年齢や経験、専門性は問いません!
ぜひ、みなさんのお力をお貸しください!!!
◇活動内容:家事援助、福祉移送
◇活動時間:主に土日・祝日を除く月~金曜日
◇協力費:1回1時間以内500円
※協力会員の皆さんが活動中にケガをされたり、利用会員にケガを負わせたり、所有物を破損してしまった場合などの事故に備えて、本会の負担により傷害・賠償責任保険に加入しています。
◇条 件:
家事援助⇒特にありません
福祉移送⇒
福祉移送サービスの協力会員にご協力いただくためには…
「地域たすけあい事業」の福祉移送サービスは、道路運送法第79 条に基づく「福祉有償運送」許可を受けて実施しており、次のいずれかに該当する方が従事できることとされています。
➊第二種運転免許保有者
➋第一種運転免許保有者で、かつ、過去2年以内に免許停止処分を受けていない方で、さらに国道交通大臣の認定を受けた団体が実施する「福祉有償運送運転者講習」を修了している者(※)。
※➋に規定する研修は、講義及び実技含めた1 日半の研修となり、参加費は本会が負担して受講していただいています
今号では、紙面の都合上、地域たすけあい事業の仕組みや家事援助・福祉移送サービスの具体的な内容といった詳細についてはご紹介していません。
詳細については、本会ホームページをご覧いただくか、本会担当もしくは各地区に駐在している地域たすけあい事業コーディネーターまでお問合せください。
◆地域福祉課地域福祉担当
(電話)026-227-3030
◆各地区コーディネーター
(電話)※HP からご確認ください
社協の相談窓口
お困りの方どなたでもご利用いただけます。(長野市在住の方に限ります。)
※相談は無料 秘密は厳守します。※土・日・祝日、年末年始(12月29日~翌年1月3日)はお休みです。
〇生活が苦しい、就職がうまくいかない
まいさぽ長野市 219-6880
〇悩み事や困りごとを聞いてほしい
きぼう相談 TEL:226ー8200(本部: 毎週火・金曜日)
TEL:292ー1151(篠ノ井:毎週月曜日)
〇成年後見制度について知りたい
長野市成年後見支援センター TEL:225ー0153
(信濃町、飯綱町、小川村の方もご利用いただけます。)
〇一人暮らしをしていて将来が不安
「おひとりさま」あんしんサポート相談室 TEL:219ー5115
〇ボランティアについて相談したい
長野市ボランティアセンター TEL:227ー3707
〇地域の活動をどう進めて良いか知りたい
地域福祉担当 TEL:227ー3030
〇WEBサイトから相談したい
URL:www.csw-naganocity.or.jp/contact
ご寄付を賜りまして誠にありがとうございます
令和6年1月から令和6年7月までにご寄付をいただいた方々をご紹介します。いただいた寄付金品は、長野市の社会福祉の向上や本会事業のために活用させていただきます。
・門前農館さんやそう 様 ・つち茂 様 ・長野モラロジー事務所 様
・生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会長野県協会 様 ・匿名 様
ご寄付のお願い
皆様からのご寄付が地域福祉を推進するための貴重な財源となっておりますので、より多くのご支援を心よりお願いいたします。
遺贈によるご寄付の相談も承ります。(総務課TEL:225ー1234)
~寄付の例~
・遺贈による寄付 ・車椅子の寄付 など
~賛助会員も募集中~
年会費
・個人(1口) 5,000円
・団体(1口) 10,000円
「ふくしながのクイズ」で図書カードを当てよう!
問題 地域のささえあい活動で活躍する○○世代
〇〇に入る言葉をお答えください。
〇答え・氏名・住所・年齢・ふくしながのや本会についてのご意見、取り上げて欲しい情報等をはがきに書いて次の送り先までお送りください。
〇送り先 〒380-0813 長野市大字鶴賀緑町1714-5
長野市社会福祉協議会「ふくしながのクイズ」係
〇抽選により10名の方に「ふくしながのオリジナル図書カード」をプレゼントします。
〇締め切りは10月31日(木)です。